Jun 18, 2009

翻訳の賞味期限

 グレート・ギャツビーの巻末には、村上さんによるこれまた本編に匹敵するほどに熱いあとがきが収められています。その中で村上さんは、翻訳には賞味期限があると述べています。
翻訳というのは、詰まるところ言語技術の問題であり、技術は細部から古びていくものだからだ。不朽の名作というものはあっても、不朽の名訳というようなものは原理的に存在しない。
との考えからだそうです。こういう考え方が村上さん独自のものなのか、それとも一般的に言われるものなのか僕にはわからないのですが、言われるとなるほどそういうものなんだろうなぁと思いました。今回僕はこのグレート・ギャツビーをかなり村上春樹オリジナルのような感覚で読んだので、これはこれで村上春樹の「不朽の名訳」ではなく「不朽の名作」と感じていますが、一般的には翻訳作品に賞味期限は付きものなんだろうね。
 少し前かな、ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」の新訳が話題になってたけど、あれも単なる商業主義のみによるものではなく、原作は色あせる事なき名作なのにいつまでも賞味期限の切れた翻訳を放置してはおけないという文学衛生上の意図もあるのだろう。あ、ちなみに村上さんは、もし「これまでの人生で巡り会ったもっとも重要な本を三冊あげろ」と言われたら、考えるまでもなく
・グレート・ギャツビー (スコット・フィッツジェラルド)
・カラマーゾフの兄弟 (ドストエフスキー)
・ロング・グッバイ (レイモンド・チャンドラー)
の三冊だそうですよ。

No comments:

Post a Comment